フィルムカメラが好きな理由の1つは個性豊かな「外観」です。特に中判カメラになると、35mm判とは見た目も、レンズの数も違ってくるところが面白いですよね。
そのほか、ハーフサイズだったり、超小型カメラだったりととにかくバラエティーが豊富。だからこそ、お気に入りのカメラが見つかると、どうしても欲しくなるし、とっても愛おしいのです。
フィルムカメラの種類
35mm判
コンパクトカメラ
自動露出やオートフォーカス、ストロボなど誰でも簡単に操作・撮影できるようになっているカメラ。高性能レンズやボディの素材にこだわった高級コンパクトカメラは今でも人気。
レンジファインダー
「距離計連動カメラ」とも呼ばれる。2つの窓から導かれた像でピント合わせをおこなう距離計を、レンズの動きに連動。ピント合わせが簡単だけど、慣れるまでに少しコツが必要。
一眼レフ
一眼レフの「レフ」はレフレックスのこと。レンズから通ってフィルムに映像が記録され、カメラ内部のミラーに反射。ファインダーを通して確認できる。傾斜した可動ミラーを持つためボディはやや大きめなものが多い。
中判カメラ
中判二眼レフ
前面にファインダー穴(ビューレンズ)とフィルムに記録するためのレンズを上下に持つ。お腹の前にカメラを持って撮影する。ローライフレックスが代表的存在。
中判一眼レフ
35mm判の一眼レフ同様、レフレックスミラーを持つ。120フィルムを使用する本格派カメラで、プロ・アマ問わず人気。スウェーデン製のハッセルブラッドが有名。
もっと知ってほしい『フィルム』のこと
フィルムの種類
フィルムカメラの場合、絞りやシャッタースピードの他に「フィルム」が重要になってきます。同じカメラやレンズでも、フィルムが違うと画質も色も変わってくるので表現方法は自由自在。フィルムのことがちょっと分かるだけでも、写真を撮るのが楽しくなります。
カラーネガ
明るさの調整や、色の補正が簡単なので一般的に使われる。ポジフィルムに比べて、露出に対するラチチュード(寛容度)が広く、適正な露出から多少外れていてもコントラストが落ちにくい。フィルムベースが淡いオレンジをしているのは、マゼンタとシアンがくすまないように、発色を良くするため。
モノクロネガ
光の明暗を黒と白の階調で表現するフィルム。露出に失敗してもプリント段階でなんとかなる場合も多い。また色がないため、作品性が強くなる。現像後はフィルムベースがブルーグレーに。そこに、やや青紫がかった像が明暗を逆にした形で写し込まれる。この色は現像時には影響しない。
カラーポジ
見た目通りの色や明るさが写るフィルム。現像したポジフィルムを初めて見たときには感動そのもの。適正露出で撮れればうつくしいが、プリント段階で補正ができないのでシビアな撮影が要求される。
現像後は見た目通りの色と明るさ。スライドやプロジェクターで投影して鑑賞することもできるのでスライドフィルムと呼ばれることも。
フィルムのしくみ
フィルムの断面図
手描きでわかりにくいと思うので以下に解説します(苦笑)
保護層
フィルムの乳剤層に傷がつかないように守るための層
乳剤層
光を感じるハロゲン化銀のミクロ粒子とゼラチンでできている。カラーフィルムの場合、上から「青感光層」「イエローフィルター層」「緑感光層」「赤感光層」の順に並んでいる。
ハレーション防止層
乳剤層を透過した光が反射して、再び乳剤層へ戻ってしまうのを防ぐための層。現像したフィルムに巻きぐせが出るのを防止する役割も。
フィルムベース
フィルムの支持層(支持体)。時代によって使われる原料は異なるが、現在はセルロース(厳密にはTAC(セルローストリアセテート)が使われている。
おすすめのカラーフィルム
昨今、なかなか手に入りにくくなってしまったフィルムですが、Amazonや通販ではまだ扱っています。それでもだいぶ選択肢が減ってしまい、更に高額になっていますが……。
個人的にはKodakのポートラ160NC/VCが生産終了になってしまったのが残念です。めちゃめちゃ使い勝手のいいフィルムだったので。後継品として、ただの「160」があります。少々高めですが、それでも「使いたい!」と思わせる発色となめらかさです。
以下におすすめカラーフィルムをあげてみました。写真サンプルがないので(どのフィルムで撮影したか整理できていない……)文章だけの説明になってしまいますが、使っていくうちにフィルムの特性がわかってくると思います。
Kodak ポートラ160
ポートラ160NC/VCの後継品。やや低めのコントラストで、ふんわりとした写り。特に人肌はやわらかく、自然な肌色に仕上がる。穏やかなトーンが好きな方向け。
Kodak ポートラ400
コントラストはやや高め。人物の肌も健康的に写る。花や自然を生き生きと鮮やかに撮りたいときにおすすめのフィルム。
Kodak Ektar(エクター)100
映画用のKodak VISOINフィルム技術を組み入れることで実現した、世界最高の超微粒子フィルム。建物や街並みをカッチリ撮りたいときに使いたい。素材感を引き出したいときにもピッタリ。
フジフイルム フジカラー100
グリーンやブルーを鮮やかに表現したいときに使いたいフィルム。木々や葉が強い緑で発色されるので、勢いのある写真になる。思っているよりもナチュラルな写りなので使い勝手もいい。
とにかく安く済ませたいときは業務用フィルムだったんだけど……
とにかく安かったので、常にストックしていたんですが、生産終了となってしまった。「記録用」とあるけど、写りに問題があるわけではありません。いたってニュートラルな発色で、クセのない写りです。
ご覧の通り、1本300円ほどでした。2020年で使用期限は切れてしまっているので使うかどうかは考えるところ(苦笑)すでに劣化がはじまっていることだろうし。
普段はこんな感じで百均のタッパーにいれて、野菜室で保管。でもさすがに4年前に使用期限の切れたフィルムを使うのはちょっと勇気がいる。まあ、アート的な、面白い写真になるかもしれないけど。
モノクロフィルムだと、色情報がないので使用期限の切れたフィルムでも案外いけそう。
こちらのフィルムもおすすめ!
Kodak ULTRAMAX 400
富士フイルムのカラーフィルムと比べると、パンチが弱く、彩度が低いのですが、そのかわり実物に忠実です。Ektarほど繊細な写りではないんですが(まあ、あちらはプロ用ですしね)、それでも十分に鮮明でなめらかだと思います。
フィルムの感度
フィルムには光を感じる度合いに応じて数字が付けられています。「感度」は現在ISO(イソ、またはアイエスオー)感度で表します。デジタルカメラも同じ基準が使われているので馴染みがあるかもしれませんね。
ISO感度が上がる(数値が大きくなる)と光を感じる度合いが大きくなります。つまり少ない光で撮影ができるということ。ただし、粒子が粗くなったり、カラーバランスが崩れる傾向にあります。
薄暗い水族館での撮影には感度800のフィルムを使います。脇を締め、呼吸を止めてシャッターを押すのがコツ。
ISO感度をきちんと設定していないと露出が違ってくるので、忘れずに、正しく設定しましょう。
露出補正で写真を表情豊かにする
カメラの内蔵露出計やオートモードで撮影するときに、白や黒が多い被写体だと見た目よりも暗く、または明るく写ることがあります。そんなときに、通常より明るい/暗い被写体であることをカメラに指示するのが露出補正です。
明るければ「プラス側」に、暗ければ「マイナス側」に設定することで見た目に近い露出を得られます。
CONTAX G2の補正ダイヤル
大型で使いやすいCONTAX G2の補正ダイヤル。
たとえば、白いものが大きく写り込む場合、カメラ任せで撮影するとカメラが「眩しいっ!」となって、自動的に暗く写すのでアンダー(暗く)なってしまいます。黒いものが大きく写り込んでいる場合には、グレーっぽい中途半端な明るさになってしまいます。
とは言え、あえて露出補正をせずに撮影することもあります。以下は露出補正せずに波のキラキラを強調させた例です。波のキラキラ以外はトーンが落ちて引き締まった印象になりました。
こちらも露出補正なしで撮影しました。
以上、フィルムカメラとフィルムについて簡単に説明しました。フィルムが高額で、現像費用もかかることから、お気軽にどんどん撮影できるわけではありませんが、その分、丁寧に、大切に撮影するようになるというメリットもあります。
そしてなんと言っても、写真ができあがってくるときの、あのドキドキはなにものにも変えられません。
でもでも……もっとフィルムが安く買えたらいいのに!